友人が「おまえの方がリアルに感じるのでは?」と貸してくれた。
印象は幕末の志士。
田中氏は元東京検察庁特捜部のやり手検事だった、
官僚組織に業を煮やして辞職。弁護士。通称「ヤメ検」の一人だ。
以前から、ヤメ検の弁護士は、なんでマスコミを賑わす犯罪者集団の
弁護士をしているのか、非常に不思議だったが、この本を読んで何となく
解ったような気がした。
文章はあまり上手くない。しかし、内容が凄い!
まあ、週刊誌を照査すれば書ける内容だと思うが、その中にリアルに生き
た「生」の男の物語だと言えるだろう。
あの許永中と心中した形で、東京高裁で3年の実刑を受け、現在、最高裁に
上告中とのことだが、自らの刑を免れることも可能だったろうが、それを潔しとせず
彼と心中した。なぜ、そうしたか?
許永中を裏切ったと世間から言われたく無かったし、彼からもそう思われたく無かった。
と、それが自分の弱さだと最後に締めくくっていた。
裏社会と表社会が一心同体の構図を持っている。
そんな風にも書いていた。
僕も同感だ。
おそらく、建築関係者は皆そのように思っていると思う。
会社を始めた頃、中規模のビルを設計した。
独立仕間もないので、見積を取る建設会社がよく解らないので、ある人物に相談した。
遠縁で、ある大手建設会社の役員をしている人間がいた。
小田原に住んでいるので、そこまで出かけて、どのようにすればいいのか聞いた。
帰ってくる答えは、談合であった。
「あんたらは、綺麗な仕事やから何もせんでも良い」という。
「設計料は施主さんからは、そんなに出ないだろうから工事費の○%用意する」
「簡単な図面とデザインだけ考えていたらいい、後は任せろ」という。
設計事務所で上手くやっていくのはそれしか無いとのことだった。
僕の思っていたことと余りにもかけ離れていて、何か非常に失望して、申し出をお断りした。
また、当社によく遊びにきていた談合を業としている者がいた。
大柄で、いつも濃紺のスーツを着こなしている。
暗闇で突然出合ったら、逃げ出したくなるような男だ。
許永中がマスコミで話題になった頃、一瞬、こいつやないやろか?と思ったこともあった。
兎に角、話が大風呂敷で、裏社会と密接に繋がっている話が多い。
「○○社に追い込みかけてまんねん」
「街宣車を店の前に貼り付けてまんので、もう解決しまっしゃろ」
「一億超えたら、東京決済ですわ」
等々、思い出したら一杯出てくる。
彼がなぜ、当社に遊びにくるのか不思議だった。
しかし、縁の無い世界なので、彼の話を面白可笑しく聞いていた。
ある意味で脱力感しか感じない世界だが、ある側面から見るとその世界は
現実的に正解なのだろう。
「しのぎ」という言葉がぴったりくる世界だ。
日本の官僚支配が急速に進行しているように感じる今日この頃。
それは、構造が大変革する、最後のあがきのように思う。
うわべの「正しさ」には歯が浮いてしまう。

