場所は茨木の辺鄙な場所で、ものは工場で完成間近である。
設計は去年の夏で、僕にとっては久しぶりに手の平にのったもの
なので思い入れも大きい。
この仕事は結構良いパターンの仕事だった。
当初、何処にでもある工場の計画案で、打ち合わせを淡々としていたが
オフィス部分の打ち合わせ時に建築主が見せてくれた、ある雑誌の
写真で啓示を受け、計画案を考え直させてくれとお願いした。
僕の中で、今回の工場計画の像がくっきりと見えた瞬間だった。
建築主は2代目で年齢は40歳半ば、工場に対する希望は面積を確保すること
福利施設を今より良くすること。イメージカラーとしてブルーを使いたいという
ことだった。
当初、簡単な案を作成し、それもとに予算をはじき、了承され、その下敷きの
上で実施案の打ち合わせを重ねて行った。
建築主からは特に不満もなかった。
しかし、打ち合わせの時に訪れる事務所にはハーレーが置いてあって
いつも奇異に感じていた。
ハーレーと今回の工場計画が僕の中でしっくりと重ならないのだ。
そうなると、設計の判断力が一気に落ちるという悪い癖がでてくる。
未だに学生気分の抜けない設計スタイルのままこの歳になってしまった。
一枚の写真はあるスタジオの写真だった。
殺風景な中に黄色に塗った壁が印象的だった。
ブルーとイエローの取り合わせを思い浮かべ一気に像が重なった。
打ち合わせの帰りの車の中で仕事を紹介してくれた友人に
「やっと、手のひらに載ったわ!」と言ったのを覚えている。
1週間後に見せた案は今までとはガラリと変った案で皆はポカーン。
オフィスの中央に大きなテラスを設け、執務空間と福利部分を分離し
テラスに面してブルーとイエローの2枚の壁にはさまれたミーティング
スペースを設けた案だ。イメージカラーのブルーは紺色の十字架に挟まれた
サッシで構成した。コストアップした分は工場部分のサッシを消防法の
限界まで縮小してまかなった。
現場監督は原色を塗るということをあまり経験していないようで
本当に塗っていいのか不安げだった。紺、黄のほかにエントランスには
赤い壁もあるので、塗装前に確認をしたいようだった。
現場には建築主も来ていて、一緒に再度確認しながら、当初通りの色を
塗ることにした。
もうすぐ完成だ!楽しみ!

